特別な日の特別な力

2018年05月20日

今日は三社祭。浅草に住む人間にとって特別な日です。

朝の回診を終えてから、息子と近所まで神輿を見に行ってきました(ウチは三社の町会ではないのですが)。
ものすごい熱気と人混みに、息子も圧倒されていた様子。

入院患者も三社祭が近付くとソワソワ。祭までに絶対に退院したいとがんばる患者、退院はできなくても外出したがる患者、一方で家族が忙しいから退院が延びる患者、そして職員も休暇をとるなど、病院も三社祭の影響を受けます。

さて、そんな特別な日に、ある患者さんのことを思い出します。

余命1週間以内でもおかしくないような末期がんの入院患者さん。しかし、三社祭をどうしても見に行きたい。何十年も地元の町会で神輿を担いできたから、三社祭の季節になると血が騒ぎます。ベッドの上で三社に行きたいと繰り返し言うのです。家族も行けるなら叶えてあげたいけど、でもすでに寝たきりの患者さん。病状がそれを許すかどうか。家族と医療チームで何度も話し合いました。最悪、途中で何があっても仕方ない。急いで戻ってくればいい。それよりなんとか願いを叶えてあげたいと、リクライニング車椅子と介護タクシーを用意して、決行することになりました。

町会の法被が用意され、病室に飾られると本人はニッコリ。当日の朝も熱は出ていたけど誰も止めることなく、そしてシャンと起きて出かけていきました。約1時間の滞在で帰院し、法被を着た凛凛しい姿で家族と記念撮影したこと、お寿司を食べてビールを一口飲んだこと、そしてとても満足したことを嬉しそうに教えてくれました。

それから、患者さんに残された時間はそう長くはありませんでした。でも、この三社祭が無かったならば、きっとずっとベッドの上だけで残りの時間を過ごしたことでしょう。この特別な日があったからこそ、患者さんは特別な力を発揮することができたのでしょう。

皆さんにとって特別な日はいつですか?きっと特別な力を発揮できるはずです。

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