緩和ケアを世に広めるために

2017年10月29日

緩和ケアという概念は、恐らく自分が医師になった十数年前よりだいぶ定着した印象があります。以前は死ぬまで戦う、死んでも心臓マッサージをするというのが当たり前だった時代でしたが、いまでは医師に対する緩和ケア研修会も広まり、少なくとも緩和ケアという言葉を知らない医療者はだいぶ少なくなったのではないでしょうか。ただし、それは医療者にとっての広まりです。

 

一般市民にとっての緩和ケアは「聞いたことがない」「知っていても、死ぬのを待つだけのこと」など悪い印象であることは、まだ少なくありません。あまり広まっているという印象を、残念ながら持つことはできません。日本緩和医療学会ではオレンジバルーンプロジェクトといって、一般市民への啓蒙活動を行っています。市民公開講座を開いたり、ターミナル駅でイベントを開いたり、考えられる範囲での努力をしてきています。でも、それって意味あるのかな、とか冷めた目で見てしまう自分もいます。だって、そういう講座やイベントに参加する一般市民はそもそも少しは関心がある人であることが多いのではないでしょうか。

 

緩和ケアは人の生き死に関わる、死生観に関わる、とても大切な概念なはずです。そして、日本人は少なくない人が「最期は苦しみたくない」「延命治療はしたくない」と願っているという調査結果もあります。もっと、緩和ケアについての認識が当たり前のものであってほしい。少なくともその良い点も問題点も議論される世の中であってほしい。緩和ケアが世に広めるために、なんらかのきっかけ、ブレイクスルーが必要です。

 

芸能人の闘病や訃報というのは、その瞬間とても一般市民の方にとっても話題になります。自分もなんどかそれに関係した記事(たとえば今井雅之さん、川島なお美さん、小林麻央さんなど)を日経メディカルに書き、多くの人にお読みいただきました。地道な草の根の普及活動や啓蒙も重要です。でも、きっとそれだけでなく、うまくマスメディアを活用していくことも重要なのではないでしょうか。

 

たとえば、その一つが医療ドラマ。現在放映中なのは産科医療を題材にした「コウノドリ」。前のクールではドクターヘリを題材にした大定番「コードブルー」。救急医療モノは他にも多くありますし、他にも病理医やへき地の診療所、などなど数えだしたらキリがありません。そんな中で、緩和ケアを題材にしたドラマがあっても良いのではと思っています。どうぞ、テレビ局・脚本家の皆様、書き留めたネタは多くありますので、興味ある方はご一報ください(笑)。

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